残業申請の実態は?

今回は、「残業申請の実態は?」です。

勤怠管理システムを導入するにあたり、残業時間の計上を申請制にするかどうか、いろいろな考え方がありますので、そのパターンとメリット、デメリットをシステム化の視点でお伝えします。

運用のパターンを洗い出しますと、大体以下の3つに分類されます。

(1) 残業申請がないと残業時間を計上しない
(2) 打刻時刻により残業時間を自動計上する
(3) 残業申請と残業自動計上を併用する

それぞれについて、メリット、デメリットなど補足していきます。

(1) 残業申請がないと残業時間を計上しない

残業申請書に、残業理由と残業終了予定を記載させ、その申請承認と働いた実績(打刻)があった場合に残業を計上する運用となります。

メリット:無駄な残業の抑止効果がある(形骸化の恐れはあり)

デメリット:打刻と申請の乖離があった場合、未払いのリスクがある

打刻と申請の乖離においては、会社の黙認と認められてしまうと厄介になりますので、その場合には出勤簿の備考欄に乖離理由を記載させるような運用もありです。

(2) 打刻時刻により残業時間を自動計上する

システム的に、残業申請がなくとも、打刻時刻を元に残業時間を自動計上する運用になります。

メリット:未払いリスクなし、管理の手間なし

デメリット:残業時間の増加による人件費の増加、無駄な残業の発生

残業時間は自動計上するが、一定の時間を超えた場合など、その理由を出勤簿の備考欄に記載させることで、無駄な残業の抑止効果が得られる可能性もあります。

(3) 残業申請と残業自動計上を併用する

朝の早出残業は申請制とし、終業後の残業は自動計上する、深夜残業は申請とする、その両方を実施する、ような運用になります。

メリット:明らかに無駄な残業を抑止でき、未払いリスクも低減する

デメリット:中途半端に無駄な残業が定常化する恐れあり

どんな会社にも、朝が好きな方が多いようで、早出残業のみを申請制としてシステムの設定するケースは非常に多いです。ただし、デメリットに記載した中途半端な残業定常化が懸念されますので、実態を把握し、適切な対応を検討されるのがよいかと思います。

以上、各パターンで列記してきましたが、個人的な見解では (3) のケースの会社では、改善できる要素が多くあるように思います。
見方によっては、、両方のメリットがあるように思えますが、両方のデメリットを受けてしまっているような印象があります。

(1) や (2) で運用されている会社は、メリット、デメリットを理解されており、その上で運用されているように見えます。

業種、業態により、まったく違った見解になるかとは思いますので、実態を把握し、会社の方向性にそった対応が最善の選択かと思います。